前回の記事で「日本ではデフレが続いた一方で、アメリカではインフレが問題になっている」という話をしました。でも、日本でも特にこの1〜2年で物価はかなり上がってきましたよね。そう、今では日本でもインフレが始まりました。そして、これからもインフレはずっと続いていくと考えられています。なぜでしょう?今日はそんなお話をしていきます。これからの日本でどのように自分の資産を守っていくかを考える上で非常に重要な内容となりますので、ぜひ最後までこの記事をお読みください…
日本におけるデフレからインフレへの転換点は、新型コロナのパンデミック
まずは、日本におけるデフレからインフレへの転換点は新型コロナのパンデミックという話から始めます。
新型コロナ騒ぎが起こる前、日本ではずっと「失われた30年」と言われ続けてきて、株価も上がらず国民の懐具合も良くならず…という状態が続いてきました。でも、幸か不幸か円高の状態だったので(確か1ドル100〜120円くらいでした)、海外から輸入するものを安く買えて、給料が少ないながらも生活はできていたのです。
それが、2019年末から始まった新型コロナのパンデミックによって大きく状況が変わります。どこの国も新型コロナウイルスを国内へ入れないように、海外からの渡航者の入国を大きく制限しました。また、国の中でも移動が大きく制限されて、仕事に行くことすらできなくなった人も多くいました。
人が働けないことで生活に必要なものすら作れない状態になるので、あらゆるものが手に入りにくい状況になりました。特に日本は、それまで(今もですが)海外からの輸入に頼っていたので大変です。マスクのような普段ありふれた物さえ供給できずに、国全体で大騒ぎになりましたよね。
そんな新型コロナ禍も2〜3年すると落ち着き始め、日本では2023年5月に新型コロナウイルスの法律上の位置付けが「5類」になったことで、新型コロナ禍は終息へと向かうようになりました。これで一件落着。人の交流も活発になって、仕事もバンバンできるようになって、めでたしめでたし!となれば良かったのですが、実はそうならなかったんです…
新型コロナ禍の後は、グローバリズムからナショナリズムへの転換がインフレに拍車をかける
実は新型コロナ禍より前から「グローバリズム(国家を超えて地球全体を一つの共同体とする考え方)の行き過ぎ」を問題視する動きは世界中であったのですが、新型コロナ騒ぎが終わった後からこの動きはより活発になります。アメリカではトランプ大統領が「アメリカ・ファースト」を掲げて自国優先の政策を取り始めました。日本でも「日本人ファースト」を掲げる政党が選挙で大躍進をしています。ヨーロッパでも行き過ぎたグローバリズムを問題視する国民が増えてきて、自国民優先を選挙公約に掲げる政党が大きな支持を得るようになってきています。
こうしたナショナリズム(国家や民族の繁栄を優先する考え方)が広まるにつれて、「海外で安く物を作って、それを安く仕入れて国内で売る」という、それまでの仕組みが通用しなくなってきています。海外で安く物を作ると、国内で物を作る仕事がなくなって失業する人が増えることになります。ところがナショナリズムの考え方では、自国民の生活を犠牲にしてでも海外で物を安く作って輸入するという考えは相容れないわけです。
昔日本が頑張って広めていたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)では、加盟国間では原則関税撤廃がルールでした。それが今は、アメリカのトランプ政権が各国に関税をかけまくっています。関税をかけることで輸入品の値段を上げて、国産品との価格差をなくして、国産品がより買われやすい状況を作るという政策です。それに対応して、相手国もアメリカに対して関税をかける…こうなると世界中で海外から輸入する物の値段が上がってしまい、その分インフレが進むということになります。つまり、今のインフレは世界的な現象というわけです。
グローバリズム経済って聞こえはいいけれど、結局「人件費のせどり」をしていただけ
一方グローバリズムによって、多くの先進国では全人口に対する外国人の比率が高くなりました。この外国人、正規のルートで入国して働いている能力の高い外国人もいる中、安い給料で働かせるために呼び込んだ発展途上国の人や、難民あるいは不法な形で入国して居住している人も多いのです。安い賃金で働いてくれる外国人労働者が増えると、その分自国民の仕事がなくなってしまって、働きたくても仕事がなくて困る国民が多くなりますよね。グローバリズムが進んで経済的に苦しむ国民が増えていくにつれて、「なぜ自国民より外国人が優遇されるのか?」という不満が国民全体で高まっていって、「まずは自国民優先」のナショナリズムが今世界中に広まってきているというわけです。
グローバリズムって「人種差別反対」とか耳障りの良いキャッチフレーズで賛同してしまいやすいところがあるんですけど、結局やっていることって「できるだけ安く物を作って利ざやを稼ぐ」ってだけなんですよね。発展途上国で物を作るにしろ、外国から人を安く呼び込んで国内で物を作るにしろ、自国民に作らせるより人件費を安くしてその分利益を増やせるわけですから。つまり、実際にやっていることは「人件費のせどり」に過ぎません。ナショナリズムが世の中に浸透していくとその「せどり」ができなくなって、人件費が高くつく自国内で物を生産する時代になるので、物価は必然的に上がりますよね。特に日本ではこれから長期的に円安傾向になることが想定されるので、そうなると円安とのダブルパンチでインフレ圧力がかかってくるわけです。


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