前回、世の中が便利になるためには、世の中に流通するお金の量が増える必要があると説明しました。そう言うと「お金を無制限に増やしたら、もっと便利になるんじゃない?」と思われるかもしれませんが、実際はそうではありません。世の中のお金が増えすぎると、それはそれで別の問題が生じてくるのです。
今回の記事では、そのことについて話をしていきますが、前回そして前々回の記事からの続きになるので、まだ読んでいない場合は先にそれらの記事を読んでからここに戻ってくることをおすすめします。
もし2つの記事を読んだよ!ということであれば、この記事も非常に重要な内容となりますので、ぜひ最後まで記事をお読みください…
お金が増えるごとに、お金そのものの価値が下がる
なぜ世の中のお金を無制限に増やしてはいけないのか?それは「お金が増えるごとに、お金そのものの価値が下がる」からです。
ちょっと古いかもしれませんが、ポケモンカード(ポケカ)を例に挙げて説明しましょう。
僕自身はポケカを買ったことがないので詳しくはないのですが、ポケカって通常は1パック5枚入りで180円(税込)で買えるようです。でも、何種類もあるカードが同じ枚数あるわけではなく、カードによって発行枚数が極端に少ないレアなカードも存在します。ポケモン好きな人であれば、そんなレアなカードを欲しい、できれば手に入れたいと思いますよね?実際ネットでは、ポケカ1枚に200万円以上の値がついて、しかも売れてしまった事例があるようです…

本来5枚入りで180円で買えるものが、希少性が高くなると1枚200万円する…すごくないですか?
それはさておき、このように「世の中に数が少ない、手に入れにくいものほど価値が上がる」という状況はあらゆる物やサービスで起こります(あくまで「そのものに価値がある」ことが大前提ではありますが)。世の中にたくさんあって、「欲しかったらいつでも手に入るし…」というものを無理して買おうとは思いませんよね?
逆に高級スポーツカーのフェラーリはこの現象をうまく利用していて、「欲しい人の数より少ない台数しか車を作らない」ことで車の価値を上げて、1台何千万円もする車を世界中のお金持ちにバンバン売っています。
この現象は、お金にも例外なく当てはまります。世の中にお金がたくさんあり、簡単に手に入るほど、お金そのものの価値が下がっていくのです。
例えば、ある店ではラーメン1杯1,000円で食べられるとします。でもある時突然、日本で流通するお金がそれまでの2倍になったとします。そうなると、1,000円を稼ぐのがそれまでより簡単になりますよね?ラーメンなんて大変なものを作ってお金を稼がなくても、もっと簡単に1000円を手にいれる方法はいくらでもあるのです。
もしあなたがラーメン職人さんだったら、そんな時…
「しんどい思いしてラーメン作って1,000円しかもらえないのは割に合わない。明日から1杯2,000円に値上げする!」
と言いたくなりませんか?世の中にお金が増えすぎると、その分こうして物価が上がっていくことになるんです。
コンビニ弁当を1つ500円で買えたのが、お金が増えることで600円、700円…と段々値上がりしていって、それまでより多くのお金を出さないと何も買えない、ということになっていくんです。お金がないと世の中は便利になっていかないけれど、お金がありすぎると物やサービスを簡単に買えなくなっていく…お金の世界って複雑ですよね。
税金でお金を没収しまくる日本と、お金を刷ってバラマキまくったアメリカ…さて、今起こっていることは?
さて、ここまでの話を前提にして、今日本とアメリカに起こっていることを見ていきましょうか。
まずは日本から。
赤字国債で多くのお金を世の中に放出しているとは言っても、ここ数十年増税に増税を繰り返して、国民のお金を取り上げ続けてきています。お金を放出しても税金で取り上げているので、実質それほどお金を増やしていないのと同じです。
その結果、日本国内で新しい物やサービスが誕生しにくくなりました。そうなると、国民が「欲しい」と思うものがなくなり、必要最低限のこと以外にお金が使われなくなります。すると企業は儲からなくなり、そこで働いている人の給料を上げることができません。給料が上がらないから僕たちのお金が増えなくなって、より一層お金が使われなくなっていきます。
これがループのようにぐるぐる回ることによって、日本では給料が上がらない、物価が上がらないといった状況がずっと続いていました(「失われた30年」ってテレビでよく言われますよね)。
一方のアメリカ。
2000年以降の記憶に新しいところでも、リーマンショックや新型コロナによるコロナショックなどで経済がガクッと落ち込みました。その度にアメリカは大きな額のお金を刷って世の中に放出して、アメリカの経済を支えてきました。その結果、リーマンショックからもコロナショックからも比較的速やかに立ち直りました。しかし、多くのお金が世の中に放出されたことで、今アメリカ国民は物価の上昇(インフレーション)に悩まされています。特にバイデン政権時代のバラマキ政策によるひどいインフレーションが今も続いていて、貧困層が生活に必要な物やサービスを利用できないという問題が発生しています。
さて、日本とアメリカのやってきたこと、どちらが正しいと思いますか?
国の中のお金が足りなければ、国民全体が豊かな生活を送れなくなっていく。国の中のお金が多ければ、お金を稼げない貧困層を中心に生活できなくなっていく。
この問題、正解なんてないんです。お金を減らすにしろ増やすにしろ、どちらに傾いても困る人が出てくるわけですから。これは「どちらが正解か」ではなく、「どこでバランスを取るか」の問題なんです。
「世界中の人が良い暮らしをできるようになる」というと聞こえはいいですが、現実としては実現困難でしょうね(あえて100%無理とは言いませんが)。これは資本主義社会の構造的な欠陥と言えるので、今後も世界中で貧富の差が拡大していくのは避けられませんし、いずれ資本主義自体が崩壊しても不思議ではないと個人的には思います。


コメント